刑事事件の佳境・弁護士の正念場―「逮捕」

刑事事件の佳境・弁護士の正念場―「逮捕」

通常逮捕

まずは、通常逮捕という逮捕について確認いたします。逮捕とは被疑者を短時間拘束する処分であるといわれています。通常逮捕とは最も原則的な形態の逮捕であり、刑事訴訟法199条1項に「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と規定されています。この条文を読んでわかるように、通常逮捕の場合は必ず逮捕状が必要です。よくニュースなどでは「令状」と呼ばれているものです。また、通常逮捕の場合、必ず被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由も必要です。いわゆる犯罪の嫌疑などと呼ばれるもので、事前にある程度の調査や裏付けをしたうえで、被疑者が犯罪をやったと相当程度の蓋然性をもって言えなければなりません。さらに、逮捕には必ず逮捕の必要性があることも要求されます。いくら犯罪の嫌疑があったとしても、被疑者が逃亡するおそれがなく、かつ証拠隠滅のおそれもないような場合には逮捕までする必要がなく、任意出頭に応じてもらうなどで対応できるので逮捕状は発布されません。

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