通常逮捕、現行犯逮捕とはまた少し違う類型の逮捕として緊急逮捕とよばれるものが存在します。刑事訴訟法210条によれば「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」とされています。長々とした条文ですが、結局緊急逮捕が許容されるための要件は3つです。すなわち、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪などの重大犯罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があり、逮捕状を求めることができないほどの緊急時で、逮捕後直ちに逮捕状を求める手続をすることです。いくら令状なしには逮捕できないとはいえ、現行犯でなければ放火や強盗などの重大犯罪をむざむざとり逃すことは不当です。しかし、他方で令状の存在が形骸化されては困るため、なるべく早めに逮捕状を取る手続を要求しているのです。