現行犯逮捕とは、刑事訴訟法213条によって規定されており「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」とされています。通常逮捕との違いはなんといっても、令状なくして逮捕ができる点にあります。もうひとつ重要な違いとしては、何人でも逮捕できるとされているので、必ずしも司法警察員らの手による逮捕でなくても、私人による逮捕でも許されるという点です。では、現行犯逮捕が許されるのはいかなる場合でしょうか。刑事訴訟法212条1項は「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」として213条の現行犯人の定義を規定しているため、このことから犯罪と犯人の明白性が必要とされます。さらに、現に罪を行い、又は行い終った者なので、犯行と逮捕との間の時間的接着性も必要とされています。そもそも、現行犯逮捕において令状がなくても、逮捕することが許容されている趣旨は、現行犯の場合には犯罪と犯人が明白であり、令状手続きを経なくても誤認逮捕がなされるおそれが小さいと考えられているからです。例えば、スーパーで店員が見ている目の前で万引きをした者がいるとすれば、その直後に店員が捕まえようとする限り、おおよそ犯人を間違えるということはないでしょう。